筋トレで2セット目以降は回数が激減する? 最新研究が明かす筋疲労のパターンとスキーヤーのための実践的アドバイス

筋トレをしていて思ったことありませんか?
2セット目から急に回数が減ってしまい「体力がないのかな?」と。

多くの方が「最初のセットと同じくらいの回数をこなせるはずだ」と思い込んでいますが、実はそれは筋トレの常識とは異なるのです。

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筋トレの真実:セットを重ねるごとに回数は自然に減少する

実は、筋トレにおいて2セット目以降に回数が減るのは完全に正常な生理現象です。2024年に発表されたジェームズ・L・ヌッツォ教授(エディス・コーワン大学)の研究によると、筋肉の疲労は直線的ではなく曲線的に進行することが明らかになりました。

この研究では、29の先行研究データを分析し、4-6セットの連続した限界までの反復(レップス・トゥ・フェイラー)テストにおける筋疲労のパターンを調査しました。その結果、同じ重量で連続してトレーニングを行った場合、2セット目は1セット目の約70%、3セット目は55%、4セット目は50%、5・6セット目は約45%の回数しかこなせないことが判明したのです。

なぜセットを重ねると回数が減るのか?

この現象が起こる理由は、筋肉内のエネルギー源であるATP(アデノシン三リン酸)の枯渇と、疲労物質の蓄積にあります。1セット目で筋肉は大量のエネルギーを消費し、同時に疲労物質が蓄積されます。セット間の休息時間が短いと、これらの疲労要因が完全に回復しないまま次のセットに入るため、パフォーマンスが低下するのです。

興味深いことに、この研究では休息時間を長くすると回数の減少は緩和されるものの、曲線的な減少パターン自体は変わらないことも示されました。つまり、どんなに休息をとっても、2セット目以降は1セット目と同じ回数をこなすことは難しいのです。

「でも、プロのアスリートはセットごとに同じ回数をこなしているように見えるけど…」と思われるかもしれません。実際、彼らは経験から自分の限界を知っており、1セット目から意図的に余力を残しているケースが多いのです。

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研究結果から分かる効果的なトレーニング法

この研究結果は、特にスキーヤーにとって重要な意味を持ちます。スキーは下半身の筋持久力が重要なスポーツであり、効率的な筋トレが競技力向上に直結します。

研究者は、1セット目の回数から6セットにわたる回数を予測するチャートを作成しました。例えば、1セット目で10回できた場合、2セット目は約7回、3セット目は約5-6回、4セット目以降は約4-5回と予測できます。

これを活用すれば、より現実的なトレーニング計画が立てられます。例えば、下記のように適正化・最適化すれば、あなたのトレーニングに簡単に応用できます。

  • 目標設定の適正化:「毎セット10回」ではなく、「1セット目10回、2セット目7回…」といった具体的な目標を設定できます。
  • 効率的な負荷設定:全セットで一定の回数(例:8回)を目指すなら、1セット目で余力を残すか、セットごとに重量を調整する方法が効果的です。
  • 休息時間の最適化:スキーの滑走時間に合わせた休息時間設定で、より競技特異的なトレーニングが可能になります。
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スキーヤーのための実践的アドバイス

まず、自分の筋力低下パターンを知ることが重要です。1セット目で限界まで追い込み、その後のセットでの回数減少を記録してみましょう。これが自分の「疲労カーブ」となります。

次に、スキーに必要な筋持久力を養うためには、セット間の休息時間を調整する方法が効果的です。研究によると、休息時間を長くすると回数の減少は緩和されますが、短すぎると筋肉が十分に回復せず、トレーニング効果が低下する可能性があります。

スキーの滑走時間(1-2分)と休息時間(リフトに乗っている時間など)を考慮し、それに近い休息設定でトレーニングすることで、より競技特異的な筋持久力が養えます。

最後に、年齢による回復力の違いも考慮する必要があります。30代と50代では筋肉の回復速度に差があるため、年齢が高くなるほど休息時間を少し長めに設定するといった調整も有効です。

この研究が示す筋疲労の自然なパターンを理解することで、「2セット目から回数が減る=自分は弱い」という誤った認識から解放され、より効果的で科学的なトレーニングが可能になります。この知識を活かした筋トレで、より長くスキーシーズンを楽しみましょう。

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参照エビデンス

Muscle Strength Preservation During Repeated Sets of Fatiguing Resistance Exercise: A Secondary Analysis
疲労性レジスタンス運動の反復セット中の筋力維持:二次分析 2024
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38781472/


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