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COLUMN  飯島庸一の「思惟私考」

COLUMN: #0027 膝障害のリスクを減らすために、改善すべき動作

2017年08月20日

 

スキーヤーだけではなく、様々なスポーツで膝前十字靱帯(ACL)損傷は増加傾向にあると言われています。女子のワールドカップレーサーにおいては受傷率50%なんてデータもあります。
 
2013年2月に発表された研究論文では、ワールドカップ選手のACLなどの受傷のメカニズムとして、膝への捻転動作が指摘されています。
Kinematics of anterior cruciate ligament ruptures in World Cup alpine skiing: 2 case reports of the slip-catch mechanism. 
 
またACLの損傷は再受傷の可能性が未経験の人と比べて6倍高い、というエビデンスもあります。
After ACL Surgery, Another Knee Injury Likely? 
 
膝関節は「軸関節」なので、アバウトに言えば前後にしか動かない構造になっています。
膝は「捻る」動作を行う機能を元々持ち合わせていません。
ACLなどの靱帯は、不要な捻りを抑制するために機能しています。
 
では下肢の捻り動作はどこで行われるのか。
 
それは、股関節です。股関節は「球関節」なので、多方向に動くことが出来ます。
足関節は股関節ほどではないものの、膝関節よりは多方向に動きますが、スキーやスノーボードの場合はブーツで多くの動作を制限されてしまうので、股関節が常に多方向に動ける状態に無いと、膝への負担が非常に高くなってしまいます。
 
膝のケガのリスクを減らす、またリハビリでも再発予防のトレーニングとして優先して取り組まなければならないのは、股関節の内旋と外旋の可動域の向上とモビリティの向上です。
 
動作の中で、一番固くなりやすいのが回旋動作です。
日常生活の中で、捻りを伴った動作が少ないのも固くなってしまう理由の一つだと思います。
 
ストレッチしなくても、電車の中でも座っていても、大腿の回旋動作はある程度行うことが出来ます。
そして、荷重を加えた状態で回旋動作と開脚動作(外転・内転動作)を組みあわせて、トレーニングすること、これが非常に大切です。
 
エクササイズの1例ですが、蓮見小奈津選手(全日本アルペンチーム強化指定選手、SALOMONチーム)の股関節のモビリティエクササイズの映像はとても参考になると思います。ポイントは膝とつま先の向きを一致させて、大腿を捻ること。
 
もう少しスピードアップして、多方向に動いても、この映像の様に高い股関節のモビリティ(可動性)を発揮出来れば、受傷確率はかなり減らせるのでは無いかと思います。ケガ無く、シーズン最後まで過ごせる様に、股関節の回旋動作の柔軟性とモビリティアップに取り組んでみて下さい。

 


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